個人投資家は株式取得時点、株式売却時点のそれぞれの時点において、税制上の優遇措置を受けることができます。
優遇措置を受けるためには、基準日において企業要件と個人投資家要件をすべてみたす必要があります。
優遇措置Aの仕組み (図解) > | 優遇措置Bの仕組み(図解) > |
仕組み(図解) > |
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他の株式等譲渡益 の詳細 > | ||||
※ | 基準日が令和5年3月31日以前の場合はプレシード・シード特例の適用はありません。また、基準日が令和2年3月31日以前の場合は対象となる投資先の企業要件が異なります。 |
次の場合、「全ての個人投資家」はエンジェル税制の優遇措置を受けられませんので、ご留意ください。
次の場合、「該当する個人投資家のみ」がエンジェル税制の優遇措置を受けられませんので、ご留意ください。
株式取得時の優遇措置(優遇措置Aまたは優遇措置B)の適用を受けた場合には、その適用を受けた株式の取得価額について一定の調整計算(取得価額の調整)が必要となります。
【取得価額の調整とは】売却時の優遇措置を受ける場合に、他の株式譲渡益と相殺できる損失金額を計算する際に、当該株式の取得価額から優遇措置の適用を受けた金額を差し引く調整を行うことです。
[対象企業への投資額‐2000円]をその年の総所得金額から控除
※控除対象となる投資額の上限は、①総所得金額×40%と②800万円のいずれか低いほう
総所得額:800万円
企業への投資額:500万円
↓
総所得金額から控除できる金額:319.8万円
※320万円‐2000円=319.8万円
× 投資額500万円
○ 限度額①800万円×40%=320万円
× 限度額②800万円
総所得額:1200万円
企業への投資額:300万円
↓
総所得金額から控除できる金額:299.8万円
※300万円‐2000円=299.8万円
○ 投資額300万円
× 限度額①1200万円×40%=480万円
× 限度額②800万円
対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除
※控除対象となる投資額の上限なし
総所得額:800万円
企業への投資額:500万円
他の株式譲渡益:200万
↓
株式譲渡益から控除できる金額:200万円
総所得額:1200万円
企業への投資額:300万円
他の株式譲渡益:350万円
↓
株式譲渡益から控除できる金額:300万円
コラム:優遇措置Aと優遇措置Bはどちらが有利か
優遇措置Aと優遇措置Bのどちらがお得になるかは、個人投資家の所得額や投資額によって異なりますので、いくつか例を挙げて比較してみます。
投資家Xさんの場合 |
投資家Yさんの場合 |
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総所得金額 | 12,000,000 |
8,000,000 |
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企業への投資額 | 3,000,000 |
7,000,000 |
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他の株式譲渡益 | 3,000,000 |
6,000,000 |
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優遇措置A |
優遇措置B |
優遇措置A |
優遇措置B |
|
総所得金額等から控除できる金額 | 2,998,000 |
- |
3,198,000 |
- |
株式譲渡益から控除できる金額 | - |
3,000,000 |
- |
6,000,000 |
エンジェル税制を利用した場合の支払税額(a) | 1,884,660 |
2,424,000 |
1,432,900 |
1,204,000 |
エンジェル税制を利用しない場合の支払税額(b) | 2,874,000 |
2,874,000 |
2,104,000 |
2,104,000 |
(b)-(a) | 989,340 |
450,000 |
671,100 |
900,000 |
判定 | 優遇措置Aが有利 |
優遇措置Bが有利 |
投資家Zさんの場合 |
投資家Wさんの場合 |
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---|---|---|---|---|
総所得金額 | 5,000,000 |
3,000,000 |
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企業への投資額 | 3,000,000 |
1,000,000 |
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他の株式譲渡益 | 2,000,000 |
1,000,000 |
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優遇措置A |
優遇措置B |
優遇措置A |
優遇措置B |
|
総所得金額等から控除できる金額 | 1,998,000 |
- |
998,000 |
- |
株式譲渡益から控除できる金額 | - |
2,000,000 |
- |
1,000,000 |
エンジェル税制を利用した場合の支払税額(a) | 502,700 |
572,500 |
252,700 |
202,500 |
エンジェル税制を利用しない場合の支払税額(b) | 872,500 |
872,500 |
352,500 |
352,500 |
(b)-(a) | 369,800 |
300,000 |
99,800 |
150,000 |
判定 | 優遇措置Aが有利 |
優遇措置Bが有利 |
所得税の計算は、平成27年分以後の「所得税の速算表」によります。
株式譲渡の場合の税額は、所得税(15%)で計算しています。