エンジェル税制の適用を受けることができるのは、個人投資家のみです。法人からの投資は対象となりません。
次のどちらにも当てはまる場合に、エンジェル税制の対象となります。
1.現金出資により株式を取得した場合
2.新規に発行した株式を取得した場合
対象外となる場合
・現物出資による株式の取得
・既発行株式の取得
まず、対象会社が同族会社に該当するかどうかを判定(同族会社の判定)します。
次に、同族会社である場合には、個人投資家が「同族会社の判定の基礎となる株主ないし株主グループに属さない」ことを判定(エンジェル税制適用可否の判定)します。
1.同族会社の判定
同族会社とは、3人以下の株主ないし株主グループが持つ株式の総数あるいは議決権の総数のいずれか(以下、「所有割合」といいます。)が、50%超となる会社をいいます。
2.エンジェル税制適用可否の判定
「同族会社の判定の基礎となる株主ないし株主グループに属さないこと」とは、対象会社が同族会社である場合に、所有割合(注1)が大きいものから上位3位までの株主ないし株主グループの所有割合を順に加算し、その割合がはじめて50%超になる時における株主ないし株主グループ(注2)に属していないことをいいます。
(注1)所有割合
所有割合は、株式数の割合(持株割合)と議決権数の割合(議決権割合)の両方で判断します。
(注2)株主グループ
株主グループは、株主、その親族、特殊の関係にある株主のことをいい、企業要件1の株主グループと同様に考えます。
親族とは、6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族のことです。
特殊の関係にある株主とは、支配・被支配の関係にある個人又は法人のことで、オーナー株主、親会社、子会社が該当します。
「所有割合が大きいものから上位3位までの株主の所有割合を順に加算し、その割合が はじめて50%となる」とは?(具体例をあげて説明します。)
(以下にとりあげる具体例は、株主がいずれも株主グループに該当しない場合を想定しています。)
所有割合(株主①が60% 株主②30% 株主③10%)の場合
・同族会社の判定について
上位3名の所有割合は100%で50%を超えているので同族会社です。
・エンジェル税制適用可否の判定について
株主Aだけで50%を超えるので、株主①はエンジェル税制対象外、株主②と株主③がエンジェル税制の適用を受けられます。
所有割合(株主①25% 株主②25% 株主③25% 株主④25%)の場合
・同族会社の判定について
上位3名の所有割合は75%なので同族会社です。
・エンジェル税制適用可否の判定
株主①~株主④は全て同順位で第1位であり、第1位だけで50%を超えているため、全員エンジェル税制対象外です。
(注)同族会社の判定では順位でなく人数(上位3名)で判定しますが、エンジェル税制の適用可否の判定は人数でなく順位(第1位、第2位、第3位)で判定します。
所有割合(株主①50% 株主②20% 株主③20% 株主④10%)の場合
・同族会社の判定について
上位3名の所有割合は90%なので同族会社です。
・エンジェル税制適用可否の判定
第1位の株主①だけでは50%を超えておりません。
第1位の株主①と第2位の株主②と株主③を合算して、はじめて50%を超えるので、株主①と株主②と株主③はエンジェル税制対象外となり、この場合は、株主④のみがエンジェル税制の適用対象です
所有割合(株主①~⑩が各10%)の場合
・同族会社の判定について
上位3名の所有割合は30%なので同族会社でありません。
・エンジェル税制適用可否の判定
同族会社ではないので全員エンジェル税制の適用を受けられます。
※株主③、株主④、株主⑤は、エンジェル税制の対象となります。
※株主③、株主④は、エンジェル税制の対象となります。
※株主①から株主③までの持ち株比率を合計しても50%を超えないので、同族会社に該当しません。この場合、すべての株主がエンジェル税制の対象になります。